
腰痛分離症とは
腰椎とは背骨の腰の部分にあたりますが、第1~5まで5つ存在します。腰椎の後ろの部分は「椎弓」というリング状の構造となっています。そのリングの斜め後ろは細く弱い構造をしていますが、背中をそらす動作やジャンプからの着地で負荷がかかります。そういった動作が繰り返し行われることでこの部分で疲労骨折となることがあります。この疲労骨折によるひびが治ることがなくそのまま分離した状態となるものが腰椎分離症です。とくに一番下の腰椎、第5腰椎が最も腰椎分離症となりやすいとされています。
腰椎分離症の症状
腰椎分離症はスポーツを活発に行っている10歳代前半の子供に多く発生します。
はじめは運動をしているときの腰痛という形で出てきます。運動の時には腰が痛いけど、普段はなんともないといった程度で、案外運動も続けられる場合も多いです。前にかがむよりも背中をそらす動きで痛みが出ることが多いのが特徴的です。
腰痛分離症の治療
分離症がどの段階のものであるかによって治療は変わってきます。
上記の疲労骨折(ひび)がくっつくかくっつかないかは疲労骨折してからどのくらい時間が経過しているかで変わってくるからです。
疲労骨折が治る(くっつく)初期の段階での治療目標は当然骨折を治すこと(くっつく)になります。
コルセットによる固定を3か月~1年ほど行います。期間の長さは分離症の段階によって変わってきますが、6か月程度となることが多いようです。長いですよね…。コルセットは布製のサポーターのようなものではなく、金属や石膏を使った硬性コルセットでの固定になります。スポーツもこの間は禁止になります。
疲労骨折が治らない(くっつかない)段階での治療目標は骨折を治すことではなく痛みをコントロールすることになります。残念ながらこの腰椎に起こる疲労骨折は分かった段階ですでに「もうくっつきません」ということが多々あります。しかし、分離症があるからもうスポーツはできませんということはありません。腰痛を出にくくするために腹筋などの筋力トレーニングや腰や太もものストレッチングが重要となってきます。
腰椎分離症の治療のポイントはこの疲労骨折はくっつくのかくっつかないのかの判断ということになります。難しいのは上記にもあるように「スポーツの時は痛くても普段はそうでもない」という痛みの程度、それから、初期ではレントゲン像では判別しにくくCT検査が必要ということです。
もう1点。疲労骨折の治療には時間がかかるということです。長くかかっても骨がくっつけばよいのですが、コルセットをちゃんとしていなかったとかスポーツはしていないけど遊んでよく走り回っていたとかで、なかなかくっつかないということもよく耳にします。さらに、こういう場合もあります。すでに疲労骨折はくっつかない段階であるにもかかわらず、6カ月間スポーツ禁止で、コルセットをしていたというパターンです。くっつかないのであればスポーツを禁止する必要はなく(強い痛みがひけば)、コルセットも必要ありません。10歳代のこの時期に6か月前後スポーツを禁止にしていれば、その間に大切な大会や試合が入ってくるものです。骨をくっつけるための期間であるならば仕方がなくとも、そうでもないのにスポーツ禁止しているのであれば悲劇としか言えません。
スポーツをする10歳代のお子さんの腰痛には注意が必要です。
スポーツの頻度や負荷、疲労には気を配る必要があります。特に繰り返し強い負荷がかかるようなトレーニングをこれらの年代でする必要はあるとは思えません。また、腰や脚の筋肉の柔軟性がとても重要です。成長で硬くなりやすい時期ですが、しっかりとストレッチングを行い柔軟性をつけましょう。