疲労骨折とは
通常、骨折は大きな力が加わったときに起こります。しかし、疲労骨折とは小さな力で起こります。小さな力ですが、同じ場所に繰り返し繰り返し加わることで骨折してしまうのです。骨にひびが入ることやひびが進んで完全に折れてしまうことがあるのです。スポーツ選手では短期間に強度の強い練習を繰り返し行った時などに起こることが多くなります。
疲労骨折はどの骨でも起こる可能性はありますが、疲労骨折となりやす部位が知られています。
代表的なものを記します。
1.肋骨…ゴルフや野球のスイング動作の繰り返しで起こりやすい
2.尺骨(前腕の骨)…バレーボールのレシーブやソフトボールのピッチャーに多い
3.大腿骨…股関節よりから膝よりまである。陸上競技の中距離、長距離、ハードル競技など。
4.脛骨(すね)…疲労骨折が非常に多い骨。疾走型と跳躍型とに分けられる。疾走型はトラック競技に、跳躍型はバレーボールやバスケットボールなどに多い。
5.腓骨(すね)…こちらも疾走型と跳躍型に分けられる。
6.中足骨(足の甲)…ランニングやジャンプの際に加わる力によっておこる。陸上競技の短・長距離、跳躍、バスケットボール、バレーボール、剣道など。5本ある骨のうちどの骨に骨折が起こるかによって治癒期間や手術の有無は変わる。
7.踵骨(かかと)…長距離の歩行やランニングで起こる。着地の衝撃とアキレス腱が引っ張る力によるものとされている。
8.舟状骨(足アーチのあたり)…スポーツ活動でかかる荷重が原因とされる。スポーツ活動を中止するだけでは治りづらい。
疲労骨折が起こる要因
疲労骨折は上に書いたようにその骨によって疲労骨折となる原因は様々ですが、一般的な要因もあります。
〇 技術・体力の問題
・筋力不足
・筋力のアンバランス
・技術不足、未熟なフォーム
・柔軟性不足
〇 練習・環境の問題
・オーバートレーニング…練習量の急激な増加
・選手の技術や体力に合っていない練習
・合っていないシューズ
・サーフェス(固すぎたり柔らかすぎたりする地面)
診断と治療
骨の部位に一致する慢性的な痛みが続いている場合に疲労骨折の可能性を疑います。
骨折はX線写真(レントゲン)で診断されることが多いのですが、疲労骨折の場合、骨折の所見が出てくるまでに時間を要します。そのため経過を見て再び、X線写真を撮ることがあります。これは疲労骨折の修復反応を映すことではじめてX線写真でとらえるようになるためです。疲労骨折による痛みのピークのころにX線写真では所見がみられない、ということが起こる場合があるのです。
治療としては、多くの場合、安静にすることで治ります。スポーツ活動を制限しながら続けられる場合もあります。しかし、疲労骨折の中には難治性のものもあり、手術でないと治らないものがあります。

